◆墓どころか納骨堂も満杯!「自然葬」希望者が増加
香港はとにかく土地が狭い…。

これまでも極狭アパート問題、公共住宅事情について触れていますが、「土地不足問題」はお墓事情にも波紋を広げています。

お墓を建てられる人は限られ、納骨堂も順番待ちとなっているほど深刻な問題に。
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△高層ビルの谷間にあるのが「墓地」。土地の狭い香港では昔からの墓地と近代的なビルが混在している:新華社網
香港の葬式費用は平均1万6,000ドル。

納骨堂に納めるためには別途賃貸料がかかり、納骨堂費用は9,900〜89万ドル。(場所による)

遺骨安置所や墓地の不足は、住宅問題と同根の社会問題のひとつなのです。
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△新界・大埔エリアの山間にある墓。外に作られている墓は先祖代々のものや富裕層、新界先住民などの人々が多い。
こうしたなか、香港特区政府は近年、「自然葬」を推進。
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市民もエコロジカルでサステナブルな方式で遺骨を処理することを受け入れるようになっており、
土に還す散骨が可能な「自然葬」の需要が高まっています。

今月1日には、公営の庭園墓地「屯門曾咀記念花園(メモリアル公園)」が供用。
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△「屯門曾咀記念花園」:香港経済日報
同庭園で火葬された人の遺灰を散骨するための申請を受け付けが開始されました。

食物環境衛生署が管轄するこの庭園墓地は、眼前に海が広がる風光明美な景観。
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「屯門曾咀記念花園」:香港経済日報
園内には故人を記念する額などが置ける美しいメモリアル・ウォールが設置。

散骨は遺族自身が行うか、当局の職員に委託するかが選択可能で、葬儀を行うことも可能です。

事前に申請手続きが必要ですが、散骨費用は無料のため、多くの市民が利用を希望することが見込まれています。

このような「紀念花園」は今後香港各地13カ所に増加予定。

先住民は依然として土葬の伝統を守っている香港ですが、土地不足のなかで今後は故人をまつる形も多様化していきそうです。
参照:1日付香港経済日報
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