今月11日に湾仔・コンベンション&エキシビションセンターで開催された「一帯一路」サミット。香港では、昨年5月に開催されて以来今回が2回目となります。サミットには世界の政財界から約2500人が出席し、ゲスト40人が「一帯一路」の商機について講演しました。
同様のサミットが北京でも5月に開催されたばかりですが、香港での開催は、香港を中心とするビジネスチャンスに話題が集中しました。

近年、よく耳にするようになった「一帯一路」。

2013年に中国国家主席・習近平氏が東南アジア、中央アジア、中東、欧州、アフリカとの協力関係を深めていく目的で構築を提唱したもので「シルクロード経済ベルト」「21世紀上海シルクロード」の二つの経済圏からなります。沿線には70以上の国・地域がありますが、
成長する余地は大きいものの、資金がないため必要なインフラを自力ではつくれません。
こうしたなかで、中国は金融面でもアジアインフラ投資銀行(AIIB)や「シルクロード基金」という形で支援、世界経済の持続的発展を図るのが狙いです。

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      13日付『大公報』「香港は「一帯一路」建設で資金調達ルートを多角化」

今年5月に開催された一回目のサミットよりさらに踏み込んだ今回。
香港は「一帯一路」においてどのような機能と役割を担うのでしょうか。大きく以下のようにわけられます。
①「中国本土へのゲートウェイ」機能
②「華人ネットワークへのゲートウェイ」
③「国際社会へのゲートウェイ」機能


中国本土の企業が、海外への事業展開を進めるに当たり香港は、”国際プラットフォーム”としての役割を担います。最大点は国際金融センター、資金調達センターとしての位置づけとなっていることです。

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 『香港経済日報』「一帯一路開拓、林鄭月娥(キャリー・ラム)・行政長官:中央と新たな協定」

キャリー・ラム行政長官は今回のサミットで、中央との間でCEPAに続く新たな協定を検討していることを明らかにしました。年末にも調印される見込みです。
今後香港は資金調達、貿易、情報交換などの分野で優遇措置が設けられることになります。

こうしたなか、現在様々なプロジェクトが進行中です。
その一つが中央政府が後押しする、大珠江デルタ地域の発展計画「粤港澳大湾区」(ビッグベイエリア)構想。これは広東省珠江デルタの9都市と香港・マカオを一体化、広域連携による発展を目指したものです。
香港に隣接する深圳は、2〜3年後に経済力で香港を凌駕することが見込まれており、今後香港が競争力を維持するためには近隣都市との競合を避けるための連携が不可欠になります。こうした判断から、構想が浮かび上がったと言われています。

そしてもう一つのプロジェクトが、まもなく着工する、香港~珠海~マカオを結ぶ「港珠澳大橋」。2018年初頭には開通が見込まれていますが、これにより、香港からマカオ・珠海へは、陸路で30分で移動できるようになります。これまで船で1時間以上かかっていた珠江デルタの西側へのアクセスが格段に良くなれば、「大湾区」域内の都市の一体化がこれまで以上に進展することになります。

香港企業が広東省企業の海外進出をサポートする上での便宜がより一層図られます。