林鄭月娥氏(キャリー・ラム)は27日、全面的な政権公約を発表しました。これは13日の一部発表に続くもので、マニフェストの範囲は司法の独立、金融の発展、人材育成、経済民生、中小企業支援、教育の再検討、環境保護に拡大。記者会見では民生、公務員、経済、青年の4項目に重点を置いて説明しました。
マニフェストでは基本法23条にはあまり言及しませんでしたが、会見では憲法責任であることをあらためて述べたほか、「外部環境が不安定なため、国家の安全を確保する作業は確かに必要である。だが適切なタイミングと環境が整わなければ立法を強行しても成功し ない」と説明。
政治体制改革は社会の分裂をもたらした主因と指摘し、「全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会の決定の下で政治体制改革を推進するのに有利な社会ムードをつくるよう最大限努力する」と述べました。
さらに今後強化していく教育面では小学校の統一試験を棚上げすると提案し、教育の専門家を招いて全面的に教育制度を見直すと話しました。
会見は午後3時に始まる予定でしたが、香港衆志の黄之鋒氏、立法会議員の劉小麗氏、社会民主連線(社民連)の黄浩銘・副主席らデモ隊が会場に入り込んで、抗議活動を行ったために会場は封鎖され、一部の記者らの入場が制限されるなどで遅れが出ました。
さらに記者会見の終盤には、香港衆志のメンバー(写真上)が林鄭氏に対話を要求。
警備員がデモ隊を退場させようとしたところ衝突が発生し、香港衆志のメンバーらが林鄭氏を取り囲み、会見セットは倒れ、垂れ幕が 落ちてくるなど現場は一時混乱に。林鄭氏は警備員に囲まれて会場から離れました。
会場の外でも社民連と人民力量のメンバー約20人が抗議活動を行っており、またしても記者はすぐに外に出ることができず一時待機。プラカードには「23条に基づく立法に反対」などが書かれていました。
こうしたなか選挙対策本部の陳智思・主任は、27日午前までに400票を超える推薦票が集まったことを明らかにしました。正式な立候補に必要な150票を遥かに上回り、他の立候補者らに大差をつけています。
3月24日の選挙まで1か月を切りました。
すでに曽俊華(ジョン・ツァン)氏が25日に立候補届を出して、正式候補第一号となったほか、胡国興氏も27日午後に180票の推薦票を集めて届け出を提出しました。
林鄭氏(キャリー・ラム)も28日には、届け出を提出する予定で、行政長官は正式候補3人による戦いになりそうです。