林鄭月娥(キャリー・ラム)政務長官は今月12日に辞任を発表し、次期行政長官選挙への立候補に向けた準備を始めることが明らかになりました。
地元紙によりますと、林鄭長官はすでにこの決定を中央に伝え、辞任は速やかに中央の批准を得られるとみられています。
林鄭長官は18日に発表予定の施政報告(施政方針演説)に関する仕事が一段落したのを機に、正式に辞任するもようです。今回の施政報告にはリタイア後の生活保障など林鄭長官が主管する政策措置が数多く盛り込まれていると報じられています。

現在までに行政長官選挙への出馬を表明したのは
月記者会見を行った葉劉淑儀(レジーナ・イップ)新民党主席
※会見模様はこちらから
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そして元裁判官の胡国興氏の2人。さらに曽
俊華(ジョン・ツァン)財政長官がすでに辞任を発表し出馬への準備を進めています。

こうしたなか、西九龍文化区に「香港故宮文化博物館」を建設する計画が物議を醸しています。
林鄭長官は2016年12月23日に北京故宮博物院と覚書を交わしたと発表。博物館の建設費用は香港ジョッキークラブが35億ドルを負担し、今年下半期に着工、2022年に完成する予定。完成後、北京故宮博物院が長期的に文物を借し出し展示します。
博物館の設計は香港出身でこれまでに「広東省博物館」や「雲南省博物館」などを手掛けた厳迅奇氏が手掛けることが内定していますが、この建設計画に対して事前の公開諮問が行われなかったこと、コンぺを行わずに設計者を決めたことなどに批判が相次いでいます。

ちなみに「香港故宮文化博物館」建設計画に対する批判は、林鄭長官が行政長官選挙への出馬をあらためて検討すると発表した矢先に起こったものです。

今月10日に会見を開いた林鄭月娥・政務長官。
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『星島日報』11日付「林鄭長官、プロジェクトを政治化しないよう呼び掛けた」

今回の反発は梁振英・行政長官の路線を引き継ごうとしている林鄭長官の出馬に不満をもつ民主派団体によるものとみられます。
10日の会見で林鄭長官は以下のように発言しました。
「市民がプロジェクトに関してやり方が良くないと思う点は喜んで批判を受け入れるが、文化プロジェクトを政治化すべきではない」。
さらに「故宮の文
化を矮小化して香港市民が至近距離で故宮の文物を鑑賞する機会を奪ってはいけない」。


今回の批判は、出馬を検討すると発表した2016年12月10日より始まった自身への攻撃につながるものと指摘した林鄭長官。
今回の件はプロジェクトではなく私個人を攻撃する弾に過ぎないと憤りを示す発言をしています。

3月26日に行われる行政長官選挙ですが、これは選挙委員会1200名により選ばれるもので、過半数に達する候補が現れなければ日本の制度とは異なり7月1日の就任日までに投票のやり直しが行われます。
今回のような批判、攻撃が繰り広げられているなか候補者らの闘いは始まっています。