
9日付けの信報より。
見出しは「分譲型公共住宅の中古販売に3万件の申請が寄せられた」というもの。
今、深刻な住居問題を抱えている香港。
政府統計によると、住宅相場は過去1年で20%も上昇するほど高騰が続いています。
そんななか、公共住宅を開発する香港房屋委員会は今年3月に賃貸型公共住宅の入居資格の条件を緩和しました。
公共住宅への入居資格条件として収入上限を5.8%、資産上限を7%引き上げることになったのです。
収入上限は4人世帯で2万5000ドル(約39万円)、1人世帯では1万100ドル(約15万7000円)とします。資産上限は4人世帯で45万5000ドルから48万7000ドル(約76万円)に引き上げます。
しかし条件緩和によって入居資格をもつ家庭は13万7500世帯に拡大するため、3年以内の入居はかなり困難を極めるとのこと。
一方、香港房屋委員会は先ごろ、分譲型公共住宅の新方式による中古販売の第2弾申請を締め切りました。
これは中流層である非公共住宅住民が中古の分譲型公共住宅を購入する際の地価補足費を免除するもの。低所得層である公共住宅住民と同じ条件で分譲型公共住宅を購入することができます。
前回2012年7月に打ち出された第1弾では割り当て枠5000戸に対して申請は6万6000件、競争率は13.2倍となりました。

今回の割り当て枠は2500戸、うち2250戸は家庭向け、250戸は単身向け。8日午後5時までに3万200件の申請が寄せられ、競争率は前回とほぼ同じ12.08倍となります。
申請資格は前回より緩和され、家庭向けが月収上限4万8000ドル(約75万円)、資産上限160万ドル(約2500万円)、単身向けが月収上限2万4000ドル(約37万円)、資産上限80万ドル(約125万円)となりました。

ご存知のように香港では物価、地価ともに高水準にあり、厳しい経済状況が続いています。
当然ながら一般住宅の購入には手が届かないけれど、賃貸型公共住宅の入居資格は得られないという「中流層向け」に分譲型公共住宅があるわけです。
低所得層向けの賃貸型公共住宅は供給が追い付いていないため、3年余りの待ち時間が要されます。
入居資格があってもなかなか割り当てられませんから、多くの人が極狭アパートに住むのを強いられているのです。
香港人は日本人に比べ住宅の資産価値に敏感なので、買うとしたら必ず売却することを考えて、いかに稼げるかをあれこれ考えるので、実質的な需要が分かりにくくなるというのが香港の不動産市場です。
また住宅物件を持っていると、それを人に貸して家賃をローン支払いに充てたり、家賃収入を可処分所得の一部として考えます。給料だけで生活している人ばかりではないために給与水準の割には物価が高いという現象にもつながっているのです。
住むことだけが目的ではなく、家賃収入や売却収入が狙いで住宅を購入する人が多い香港だからこそ、住宅問題がより複雑化しています。