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青年新政の梁頌恒氏と游●禎氏(※=草かんむりに惠)の「シナ発言」就任宣誓をめぐる問題が大きな波紋を呼んでいます。
全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会が香港基本法の解釈を行うことに反対するデモ行進が今月6日に行われました。このデモは、民間人権陣線が主催したもので、午後3時半に湾仔からセントラルの終審法院に向けて行進、梁氏と游氏を含む参加者は主催者発表で1万1000人、警察の推計ではピーク時に8000人と発表しています。

デモ隊のうち4000人は途中から西環の中央人民政府駐香港特区連絡弁公室(中連弁)に向けて行進し、午後7時ごろに中連弁前に集まったデモ隊は車道に飛び出そうとして警官隊と衝突し、警察が催涙スプレーを放つなど混乱状態でした。
私が現場に向かったのは7時半過ぎ。すでに写真のようにゴーグル、マスク、ビニル合羽を着用している人も多く、現場はピリピリした状況でした。

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写真の女性は今回の「シナ発言」をした元新人議員の青年新政の游氏。「美人すぎる議員」として知られています。

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なぜここまで発展したのか。
「香港基本法の解釈を行うことに対する反対」とはどういうことなのでしょうか。

彼女たちは、就任宣誓時に独立派が作った「香港は中国ではない」と書かれた旗を掲げ、中国を「支那(シナ)」と呼び、下品なスラングを盛り込むなどしたため、「香港は中国の一部である」と明記された基本法に違反するだけでなく、明らかに国や国民を、ひいては世界中の華人を侮辱する状態であったことから、猛烈な非難を浴びることになりました。
特区政府は議員資格を剥奪すべく訴訟を起こしましたが、事は国家分裂に関わる深刻な事態だったので、全人代常務委は自主的に基本法解釈を行い、青年新政の2人の宣誓は無効、やり直しを認めず、議員は喪失するという方向へ道を開きました。

これまでも就任宣戦でも悪ふざけをした発言はあったものの、ここまで大きく問題になることはありませんでした。
中連弁前でデモ隊と警察が対峙している時に、游氏はマイクを手にしてもスマホを触ってばかりで一向に話す様子もなく、結局口を閉ざしたままでした。

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8時過ぎに、さらに警官隊は数回にわたり催涙スプレーで対処。ちょうど警察隊の目の前にいたため、人生2度目の経験をしてしまいました。この夜は、風がやや強かったので、降りかかった人は多く、涙より喉の痛みが強く、咳がとまらず…。
2年前の「セントラル占拠行動」時にも取材中に浴びてしまいましたがこの時は涙が止まらなかったので、どうやら異なるものを使用しているようです。

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午後9時ごろにはデモ隊が車道を占拠し、一部トラム、バスの交通が遮断され午後11時ごろには地下鉄MTR西営盤駅も閉鎖されました。(写真上)

デモ隊の一部は傘や竹ざおを持ち、路上のレンガを剥がして警官に投げるなどし、婦警2人が負傷。7日午前零時半ごろから警官隊は胡椒弾の銃を構えてデモ隊を追い詰め、社会民主連線(社民連)や香港衆志などがデモ隊に解散を宣言し、午前3時までに衝突は収束し、社民連の呉文遠・主席を含む4人が逮捕されました。
 

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全人代が香港基本法104条の解釈を採択したのを受け、香港基本法23条の立法に関する問題も浮上しています。
全人代常務委法制工作委員会の張栄順・副主任が7日に行った解釈についての説明では「『香港独立』の本質は国家分裂で、香港独立の言行は1国2制度の方針・政策や国家憲法に深刻に違反する」と指摘、基本法23条で国家分裂の行為を禁じているほか、第1条、第12条に違反することから独立を宣揚する者には立法会議員の資格がないだけでなく法的責任も追究されると説明しています。

今回起きた騒動は、独立志向を高める今の香港の若者たちを象徴するもので、今後もこうした問題は頻繁に起こるものとみられています。