昨年10月に突如起こった中国政治書籍の専門書店「銅鑼湾書店」関係者ら5人による失踪事件。特に注目され始めたきっかけは、銅鑼湾書店の株主である李波氏が昨年12月30日、柴湾の倉庫に書籍を取りに行きそのまま失跡したことでした。
事件の経緯は「香港彩り情報~銅鑼湾書店 関係者失踪事件」リポートにも書いていますので、ご覧ください。

さまざまな憶測から「1国2制度の崩壊」と騒がれ、外交問題にも発展した事件。
身柄を拘束されていたうちの一人、同書店の林店長が釈放されて8ヶ月ぶりに香港に戻り、今月16日に記者会見を開き再び香港で騒がれています。地元紙では一斉に大きく報じています。

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19日付けのアップルデイリー。
見出しは「彼(林栄基)は中国本土に操られている 恐怖の中で生きたくない」

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19日付けの東方日報。見出しは「矛盾を抱えたデモ行進」
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19日付けの星島日報。
見出しは「林栄基の愛人が泣きながら訴える 騙されて禁書発送を手伝った」

銅鑼湾書店の事件で逮捕された4人のうち、保釈処分が遅れていた林栄基・店長が今月14日に香港に戻りました。昨年10月下旬に深圳市内で突如失踪、そこからおよそ8ヶ月ぶりのことです。
16日には、記者会見が急遽開かれました。
林店長によると、中国専案組(文化大革命の際に創設されたもので、中国共産党幹部の直属で各部門をまたぎ、中央政府を超える権限をもつ臨時組織と言われていますが、現在も存続するかは謎)から顧客リストを提供することを条件に保釈処分となったということで、リストを持って中国本土へ向かおうとしたところ、気が変わって民主党の何氏に連絡をして記者会見をひらいたとのこと。

会見には多くの報道陣が詰めかけました。

林店長は、失踪した当時のことを振り返り、中国のイミグレ(羅湖出入境管理所)の係員に止められ警察署に連れていかれたこと、目隠しに手錠をされた上で浙江省寧波市に連行されたこと、監視状態の下で生活を強いられていること、書店の中国人顧客データの引き渡しを要求されたことなど赤裸々に語っていますが、他の関係者から事実と異なるなどの声が多数上がっています。
数々の異なる点のなかで特に問題となっているのは「一国二制度に関わる越境逮捕が行われたかどうか」です。
つまり香港で行方不明となった李波氏は、共犯ではなく参考人だったわけで、本人は密入境と言っています。林氏が本人から聞いたという越境逮捕の話も結局は嘘だったようです。

この会見を受け、香港市民支援愛国民主運動連合会(支連会)などの民主派団体は、18日にデモ行進を開催しました。デモ隊は銅鑼湾書店から中央人民政府駐香港特区連絡弁公室(中連弁)まで行進。主催者発表で6000人(警察発表は1800人)が参加。「言論の自由を守ろう」
「強権にNOと言おう」などのスローガンを掲げ、共産党旗を焼くなど行いました。
一方で19日には愛港之声(親政府派団体)が立法会議事堂前で民主党の何俊仁氏を非難するデモ活動を行い1000人が集まりました。

民主派は立法会選挙に向けた票稼ぎに銅鑼湾書店事件を利用しようとしており、市民の懸念を煽る傾向は9月まで続くとみられます。