17日から3日間にわたり、来港した中央幹部ナンバー3の張徳江委員長。中央には最高幹部がナンバー7までいますが、その誰かが来るかということは重大なことでした。
今回張徳江・委員長の来港目的は「一帯一路」戦略への香港の参入を促すことでしたが、他にも、香港社会では深刻な分裂状態が続いているため、政府への不満を訴える民主派の声を聞くために一部民主派との交流も最初から目的にあったと報じられています。

4年ぶりに幹部が来港ということもあり、地元各紙は大きく取り上げていました。
18日付「文報」
「委員長が見る・聞く・話す・思いやりをもって香港の状況を視察」

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18日付りんご日報
「デモ隊が空前の警戒を突破、反共の標準で張徳江氏を迎える」

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到着した17日は張氏が期間中滞在した湾仔にあるグランドハイアット周辺は厳戒体制に。
警察官に話を聞くと「民主派団体のデモがいつどこで起こるか分からず、張氏の滞在期間中は常に緊迫している」とのことでした。
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同日の午後5時すぎには、セントラルにあるHSBC本社前で過激な民主団体「社民連」がデモ行進を始めようとしていました。(※社民連は「長毛」の通称で知られる過激議員の梁国雄氏が主席を務め、香港で過激なデモを始めた本家本元。セントラル占拠行動にも参加、占拠行動のエスカレートを後押ししていた団体)
プラカードや横断幕には中国共産党の専制政治を終わらせるよう要求が書かれてありました。
本来ですと、デモは政府に許可を取ることが法律で決められていますが、今回は許可を取らずに行っていました。
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高齢者施設訪問や公共住宅の建設現場視察など、分刻みのスケジュールをこなしていくなか、
滞在2日目の晩餐会の前には各党首と立法会議長が参加する小規模な宴会が開かれました。
出席したのは、民主党・劉彗主席を含む民主派議員4名。
張氏との接見機会が設けられました。
4名の中には出席を拒否していた議員もいたようですが、林鄭月・政務長官が「民主派は中央幹部と直接対話したいと話していたのだからこの機会は逃してはいけない」と諭し、出席を促したとのこと。
中央幹部と民主派議員の接見は返還後、初となりました。

民主派議員らは行政長官の交代、中央と特区政府と市民の対話のプラットホームとして「港是会議」の設置を提案。
「港是会議」tは、立法会議員選挙後に特区政府が組織・主導し退職判事が主宰するなどで、政治体制や民主、経済について建設的な改革を討議するものです。

この日夜に開催された晩餐会で、張委員長は重要なメッセージとも捉えられる「1国2制度」の継続を明言するスピーチをしました。
これは、つまり「2047年以降も1国2制度が続き、1国1制度にしない」ということです。
香港にとっても国にとっても1国2制度を維持する方が有利だと考えたもので、2047年以降も中国の社会主義体制の運営に香港の資本主義体制が必要になると判断した発言と捉えられます。
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地元各紙は「2047年以降に対する社会の不安を取り除く発言」として報じています。

昨今の若者による独立志向の高まりや、9月に立法会選挙を控えている中、この発言がどのように影響するか注目されています。